スーパーにはいろいろな種類の「梅干し」を売っています。でも塩と赤しそだけで漬けた梅干しって売ってないんですよね。裏のラベルを見ると、調味料で食べやすく調味していることがわかります。
我が家の梅干し事情はというと、知り合いの庭でとれた梅を使って実家で漬けた梅干しを毎年もらっていて、最近はお店で買うことはなくなっていました。でも、ある年…
「もし自分で梅干し漬けるなら梅もらってくるけど、どうする?」
って実家から電話。毎年の梅干しづくりに疲れたらしい…
よし、梅干し作るぞ。
梅干しとは
梅干しは、梅の実を塩漬けし天日で干して作った保存食です。梅の実に含まれるクエン酸の効果で食中毒の原因となる菌の繁殖をおさえるとして、昔からお弁当やおにぎりに使われています。
平安時代にはすでに梅干しが作られていて、薬として使われていたそうです。疲労回復・血行促進・食欲増進・整腸作用等の健康への効果があるとされています。
さて、作り方は…
作り方
昔ながらの梅干しには塩だけで漬けた「白ほし梅」と、赤しそで色をつけた「赤しそ梅」があります。
今回は、「赤しそ梅」の作り方を紹介します。
塩分何パーセントがいい? 塩分濃度はどうする
梅干しの作り方を調べていて一番悩ましいのが塩の量。
本やWEBでいろいろ調べていても、書かれていることがバラバラです。
さまざまな文献を読んでみて、まとめてみると以下のような感じでしょうか。
梅の量に対する塩の割合です。
・21%以上
心配なく常温保存可能な梅干しができます。
昔は保存性重視のため塩分多めが普通でした。
表面し塩をふいたしょっぱい梅干しです。
・18~20%くらい
家庭で梅干しを作るとき、一般的に推奨されている塩分濃度です。
防腐効果も期待できます。
・15~19%くらい
家庭で普通に作れる、減塩梅干しです。
製造過程でカビがはえないよう、しっかり消毒しましょう。
梅干しの保存は冷蔵庫が安心です。
・14%以下
カビが心配な塩分量です。
カビを抑えるため、塩のほか酢(米酢や梅酢)や砂糖などを加えて梅を塩漬けしましょう。
道具もしっかり消毒が必要です。
梅干しは冷蔵庫保存が必須です。
・市販の減塩梅干し
市販の梅干しには3%や5%など超減塩のものもありますが、どうやって作ってるの?
市販の減塩梅干しは、普通に漬けた梅干しを塩抜きして調味したものが多いようです。
我が家の梅干しは減塩を意識して、塩の量は梅の15%で作っています。
今のところカビなどのトラブルはありません。
それでも心配なので、作る過程では食品用消毒液での消毒をしっかりしています。
さあ自分にあった塩分濃度を決めて、「梅干しづくり」始めましょう。
材料と道具
材料
- 梅の塩漬け
梅 3kg
天然塩 450g(梅の量の15%) - 色付け用赤しそ
赤しそ 600g(2袋)
天然塩 90g(赤しその量の15%) - 食品用消毒液
道具
- ボール
- ざる
- スプレー容器
- 布巾
- 竹串
- 漬物樽(押しフタ付)8L
- おもし用ペットボトル(1L:1個 500mL:2個)
- 干しざる(ネットの覆い付きもあります)
手順
梅を塩漬けする
- 梅をボールに入れて洗う。
- ざるにあけて水をきる。
- 梅を1個ずつ布巾で水気をふきながら、
①竹串でヘタを取る
②傷んだ梅を取り除く(多少の傷は大丈夫) - 梅をボールにもどし、スプレー容器に入れた食品用消毒液を梅にまんべんなく吹きかける。
- 洗って乾燥させた漬物樽にも、食品用消毒液をスプレーし消毒する。
- 消毒した漬物樽に梅を漬ける。
①樽の底にひとつかみふり梅を1/3敷き詰めるように並べる。
②残りの塩の1/3を梅の上にふりかけ、その上にまた梅を1/3敷き詰める
③②をもう一度繰り返し、最後に残りの塩をふりかける。
④食品用消毒液で消毒した押しフタをのせ、消毒したペットボトル2kg(1L:1個 500mL:2個)をのせる。 - 一週間ほどして、梅が隠れるくらい梅酢が上がってきたら梅の塩漬け完了です。
色付け用の赤しそを加える
梅の塩漬けに梅酢がしっかりあがったら、赤しそを入れるタイミングです。
- 赤しそを準備する。枝付きのものは葉を摘んで枝をはずす。
- 1をたっぷりの水で洗い、よく水を切る。
- 大きなボールか鍋に2を入れ、半量の塩を入れる。
- 塩をなじませながら強くもむ。紫色の汁(灰汁)がでてきたら両手で強く絞り、出てきた汁は捨てる。
- 残りの塩を加え4と同様灰汁をしっかり絞る。
- 4に梅酢を浸る程度加え赤しそをほぐしす。
- 6を塩漬けの梅の上にのせる。
- 食品用消毒液で消毒した押しフタをのせ、梅が梅酢に浸るくらいの重石(1L:1個もしくは500mL:1個)をし、梅雨明けの土用干しまで漬ける。
梅干しの赤の発色をよくするためにも、赤しそのアクはしっかり絞りだしましょう。
土用干しをする
梅雨明けの晴天が3日以上続きそうな時を見計らって、梅を天日干しします。
梅雨が明ける7月終わりか8月の初め頃に天日干しするのが一般的ですが、晴天が続かないときは干せるときまで梅酢につけておけば問題ありません。
しかし近年の7~8月は猛暑がつづきです。
我が家では梅が乾燥しすぎるのを避けるため、毎年9~10月に土用干ししています。
しっとりした梅干しに仕上がります。
梅干しの保存性を高めるため、晴天が続きそうな日を選んでしっかり紫外線に当たるようにしましょう。
- 手を食品用消毒液で消毒する。
- 梅漬けの樽から赤しそを取り出し、梅酢を絞り、ほぐしてざるに広げる。
- 梅を取り出しキッチンペーパーで軽く水気を切って、ほかの梅とくっつかないよう、ざるに並べる。
- 日当たりのよい場所で天日干しする。
- 1日に1~2回梅干しを裏返しながら、3日3晩干す。
雨が心配な時は屋内へ取り込むなど外干しにこだわらなくても、臨機応変で大丈夫です。
保存する
干しあがった梅干しの保存には「梅酢に戻す」と「干したまま保存する」の2通りありますが、我が家は「干したまま保存する」派なので、蓋つきのプラスチック容器に梅をならべて冷蔵庫で保存します。干しあがってから3~4か月寝かせると塩味と酸味が落ち着いておいしく食べられます。
まとめ
実家で作っていた梅干しは塩分20~25パーセントと塩分強めで表面に塩をふいていましたが、塩分15パーセントの梅干しはしょっぱさ控え目。梅本来の酸味がフレッシュに際立った梅干しとなりました。熟成が進むと、塩味と酸味がますます落ち着いてさらにおいしくななります。ただ、その頃には食べ終わっているかもしれませんが…
初めて梅干しを作ったときは「梅干しは自然の力でできていのだな」と感じました。
梅干し作りで人ができるのは、自然のお手伝いをするだけ。
梅干しの大敵カビが生えないように塩漬けしたり、紫外線での殺菌や水分を抜いて保存性を高めるために土用干ししたり。
手間をかけた分、梅のうまみが増して、味を濃縮し保存がきくようになります。
そんな自然のはたらきに感謝です。
梅干しはエラい!! そしてうまい!! でもスッパイ!!